うつ型不登校

うつ型不登校
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心の病を持つ不登校

心の病を持っている不登校の子は長期間学校を休みます。薬を服用し、精神科や心療内科へ通院する事になります。それが数年続く子もいれば、大人になってからもずっと心の病気と闘い続ける子もいます。うつ病・躁鬱病・統合失調症・自律神経失調症などが多いです。これらの症状を持つ前にはリストカットや自傷行為、異常行動もみられます。うつ病など心の病から抜け出した不登校の子の体験談を参考にしながら、克服方法を話していきます。

一度、心の病気を持つと自尊心を失われる子が多いです。「自分は病気だから。」と言い訳をして、学校へ向かう事ができるなくなるのです。子ども一人では動き出す事ができないので、周りのサポート体制をしっかりと持ちながら解決していきましょう。

不登校の心の病

学校を休み始めて、少しずつ心の状態が不安定になります。うつ病になってから不登校になるわけではありません。あくまでも、不登校になった後に精神が不安定になります。もともと心が繊細で敏感なのが不登校の特徴です。ストレスが過度にのしかかることで、心への負担も大きくなります。『不登校と病気の密接な関係とは?』でも詳しく病気との関係を解説しています。

うつ病

うつ病とは何か?うつ病の基本的な定義は、「2週間以上、あらゆる物事に取り組むやる気や意欲がなくなり、何もやる気が起こらない状態がほぼ毎日、一日中続く状態」のことです。一時的に気分が落ち込む程度は、自律神経失調症の段階です。誰にでもよくあることです。しかし、これが毎日、ずっと続いている状況になれば鬱病と判断されます。最初は、夜眠れなくなる不眠症や、食欲の低下からスタートすると言われます。そこからやる気が出なかったり、物事に興味が無くなったりしていきます。

不登校の子は、そもそもが学校へ行けないという状態にあります。ただでさえ意欲がないですから、鬱病にかかりやすいと言えます。

しかし、多くの子はゲームなどに意識を持っていくので、うつ病にはなりません。ですから、不登校だからと言って、誰もがうつ病になるわけではないです。以前に、起立性調節障害と診断された子が睡眠導入剤を服用しました。しかし、改善がみられず、より強い睡眠薬を服用していたら、副作用によって鬱病が発症した不登校の子がいました。

少しのきっかけで、精神状態は悪化していきます。不眠症や食欲不足の段階で見抜けるように、しっかりとわが子を観察してください。

うつ病の体内的な原因として「モノアミン仮説」というものがあります。これは「脳内のセロトニンという神経伝達物質の不足」のことです。脳内の神経と神経の間をつなぐシナプスが、セロトニンやノルアドレナリンといった行動的になる物質が不足することでうつ病になると考えられています。セロトニンは「幸せホルモン」と言われています。ノルアドレナリンは試合をする選手などが闘争心を持つ為に出す「戦うホルモン」と言われています。

一方でメラトニンというホルモンがあります。これは、眠る時に脳内で分泌される物質です。心が落ち着くホルモンです。不眠症の場合、このホルモンが足りなくなると言われています。うつ病で処方される薬の多くは、このセロトニンの分泌を促すようになっています。そのため、人によっては多く出過ぎたりします。あるいは、薬が効かなくなると、一気に落ち込んでしまう子もいます。落差が激しくなるのです。これが副作用として出てきます。

しっかりと薬の効果を確かめながら、服用するようにして下さい。

躁鬱病

躁(そう)とは鬱(うつ)症状の真逆の症状です。異常に気分の高揚した状態になっているのが躁状態です。ただ元気があるとかではなくて、一緒に生活している人から見て、おかしいと感じるレベルです。そして、不登校の子で、この躁と鬱を繰り返す子がいます。躁鬱病(双極性障害)です。

この病気は4つ以上にタイプが分かれます。より詳しくは、精神科などでご相談下さい。

統合失調症

日本精神神経学会によると、「統合失調症とは、思考や行動、感情を1つの目的に沿ってまとめていく能力、すなわち統合する能力が長期間にわたって低下し、その経過中にある種の幻覚、妄想、ひどくまとまりのない行動が見られる病態である。」と定義されます。

不登校の子であまりにも精神的に追い詰められてしまうと、統合失調症を発症してしまいます。発症までいかなくても、軽い幻覚や妄想を持ち始める子はいます。そうなった場合は、お医者さんに相談して下さい。

自律神経失調症

うつ病の前の段階が「自律神経失調症」です。やる気はあるけれども、体が付いていかないという状態です。やることをやりたいのだけれども、疲れてできない。自分の神経をうまくコントロールできていない状態です。この症状は多くの不登校の子でも起ています。頭が痛くて学校へ行けないなども、この症状だと言われています。

基本的に、不規則な生活や習慣などにより、私たちの自律神経のバランスが乱れるために起こる身体の不調です。規則正しい生活リズムを取り戻す事で、すぐに改善する事ができます。

私たちの学校で寮生活をすると1日で改善する子もたくさんいます。頭痛や腹痛がすぐに止まる子もいます。規則正しい生活を心がけましょう。

リストカット・自傷行為

女の子に多いのがリストカット・自傷行為です。カッターなどで手首や腕に傷をつけます。自信がなくなると、リストカットを繰り返したりします。子ども達に聞くと「リストカットをすると気持ちが一時的に楽になる。」と言います。自殺目的でやる子はほとんどいません。

自分の存在確認の為に、血を見るとも言います。周りから自分のことを大事にされない、認めてもらえないことで孤立した自分が恐くなるのです。自分がこの世に存在しているかどうかを確認する為に、リストカットをして、痛みがあることが大切だと言う子もいます。

一度やってしまうと、衝動的にリストカットを繰り返してしまいます。周りに迷惑をかけないよう、自分でストレスを解消しようとする行為なので、すぐに怒るのではなく、理解してあげる事が大切です。

薬物療法・副作用

心の病に対する、脳の神経系に効果のある薬物治療のことを「薬物療法」と言います。精神科や心療内科で行われる最もポピュラーな治療方法です。薬物を使わない治療法には、森田療法や行動療法などがあります。薬物療法では、薬の配合や量、間隔が大切になります。その時々の状態に合わせて、薬が処方されていくのです。なので、体質によって薬が合わない場合があります。逐一、薬を飲んだ後の状況をお医者さんに伝えるようにして下さい。

問題は、薬の副作用です。強い薬ほど、強い副作用があります。以前に、薬の副作用の薬の副作用の薬を飲んでいる不登校の子がいました。ある子は睡眠導入剤の副作用で日中フラフラで起きあがれなかったこともあります。しっかりとお医者さんと相談の上、服用するようにして下さい。

うつ病の不登校改善法

うつ病に発展する前には2つの段階があります。「食欲不振→自律神経失調症→うつ病」という段階を踏んで行きます。つまり、これを逆に進めば、うつ病の不登校も改善する事ができます。ただし、薬物療法をしている途中だと効果はあまりありません。

2つのことがポイントになります。1つは、規則正しい生活リズムです。自律神経失調症は体内時計が狂う事で悪化していくと言われています。夜更かしや昼夜逆転で発展していきます。規則正しい生活習慣をすることで、大きく改善していきます。

専門家が不登校を朝起こす方法』で詳しく解説しています。

2つ目は、食欲です。うつ病になる人は食欲がありません。食欲を回復させなければいけません。精のつく食べ物を選んで食卓に並べてあげるといいです。お肉などを中心にしてあげるといいです。最初、不登校の子に甲子園を目指す野球部の生徒と同じ食事をさせていたら、自然に元気が出てくるようになりました。精神科医の先生で食物療法としてお肉中心の食事をやっている方もいます。

まずはお医者さんと相談しながら、家庭で食事療法と規則正しい生活リズムを取り入れてみて下さい。

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