不登校は朝起きないと、学校復帰できない
学校へ戻れる不登校の子は、朝起きる習慣が家でできています。不登校で学校へ行けなくとも、家の中では、きちんと朝起きていました。だから、学校へ行く気持ちが高まってきた時に、スムーズに学校へ戻る事ができます。朝起きなければ、やる気もなくなり、怠惰な生活を送ります。昼過ぎに起きて来て、ダラダラ過ごして、夜中を過ぎても起きて、親子喧嘩で、部屋にこもります。専門家が不登校を朝起こす方法をお教えします。
朝、無理やりに起こすのは、子育ての躾(しつけ)として当然です。不登校でないなら、無理に起こしても良いと思いますが、不登校になった子には通用しません。怠惰が理由で起きられない訳ではないからです。
不登校は規則正しい生活リズムが必要
不登校を克服する為には、必ず朝起きなければいけません。つまり、家の中で規則正しい生活リズムが必要です。精神学的にも、規則正しい生活リズムをしなければ、自律神経が正常に働きません。脳内のホルモンや神経伝達物質の分泌が不規則になります。すると、それが感情の上下、やる気に関わってきます。
不登校の子で感情の起伏が激しいのは、自律神経が乱れている為です。
医学的に、私たち人間は、眠る事によって、交感神経と副交感神経を入れ替えています。起きて、朝日を浴びることで、交感神経が活発になります。眠る時に副交感神経が活発になり、ストレスが落ち着いていきます。
しかし、不規則な生活で、朝日を浴びる頃に寝てしまうと、自律神経が乱れて、脳は混乱状態になります。それがきっかけとなり、精神不安定状態になる子がほとんどです。昼夜逆転から、対人恐怖やうつ症状が出てきます。そして、家族と会うのも嫌がり、自分の部屋にひきこもり始めるのです。そして、統合失調症のような幻覚を見るぐらいまで進行する子もいます。そうなってしまうと手遅れで、入院処置、薬物治療でしか回復できなくなります。
逆に、ひきこもってしまっているぐらいの状態で薬物療法をしてしまうと、悪化するケースもあります。親御さんの接し方で、簡単に引きこもりが改善していきます。
不登校がひきこもりになるのも、朝起こす事ができなかったからです。起床を子どもに任せていることで、どんどん現状が悪化していくのです。
朝起きない理由とは?
不登校の子が朝起きない理由は、大きく分けて5つあります。詳しくは、『起立性調節障害型の不登校』で話していますので、参考にして下さい。
①起立性調節障害
②低血圧
③低血糖
④昼夜逆転
⑤ストレス・罪悪感
朝起きない理由は、この5つのどれかにあてはまります。病院に行くと「起立性調節障害」と診断されます。その起立性調節障害の原因は、「ストレス=心因性」です。
何がストレスなのでしょうか?
不登校の抱える4つの不安
不登校の子どもがプレッシャーに感じている4つの不安があります。この不安が増加することで、朝起きられなくなるストレスが起きているのです。
①友達関係への不安
「学校で友達が無断で休んでいる自分の事をどう思っているのか?」と不安になっています。思春期の友達グループは、自分のグループから外れている子の事を馬鹿にしています。それを、不登校の子は敏感に気にしています。
ある不登校の子は、クラスメイトや学校の先生から自分が馬鹿にされている光景を夜寝ている時に想像していたそうです。
「どうせ学校へ行っても、馬鹿にされて、一人ぼっちになるだけ。」と思うのです。
②勉強への不安
あなたは、風邪で学校を2,3日休んだ時、友達から授業ノートを書き写すことに苦労した経験があるはずです。不登校の子は何カ月も休んでいます。勉強が全く追いつかない事を理解しています。
「今、学校へ戻っても、授業がわからない。テストも合格できない。」
③将来への不安
不登校になる前、子ども自身、不登校を見下していました。「学校も行かない人が、きちんとした大人になるはずがない。」そう思っています。親から言われて、大学へ行くのが当たり前だと思っていたのに、それさえもできないかもしれない。
「自分は将来どうなってしまうのか?」
④親への不安
不登校になる子は真面目で心の優しい、良い子です。子どもは、親を信頼して生きています。親から見捨てられると、生きていけません。だから、親の希望する、親の望むことをやるのが自分だと思っています。
「勉強ができて、学校へ真面目に通って、学校の先生から褒められる子」でないのが、不登校です。それなのに、自分は不登校になってしまった。親に認められない「ダメな子ども」なのです。このまま不登校が続けば、自分は親に見捨てられるかもしれない。そんな不安=恐怖心が襲っています。
親が厳しく接しているから、子どもが怯えているわけではありません。親と子の関係上、親が優しくとも、子どもは親の顔色をうかがって生きています。
間違った起こし方
不登校の4つの不安を理解すると、無理やり不登校の子どもを起こすのは間違った起こし方です。ほとんど効果はありません。逆に、不登校の子どもの持つ不安を煽ってしまいます。
不登校の子が最も不安に思っているのは「親からのプレッシャー」です。親から叱られる度に、子どもの感じるプレッシャーが増加していきます。
起こされても学校へは行けないからです。そこで、また、親が失望するのが恐いのです。見捨てられる恐怖心が出てくるのです。怒って、叱ってみても子どもが学校へ行くことはありません。
専門家が推薦する不登校の朝の起こし方とは?
不登校の子が朝起きない理由は、4つの不安を持っているからでした。そして、朝起きたとしても、どうせ学校へは行けない。その諦めが朝起きない原因です。これらを解決してあげる事で、子どもは朝起きる事ができるようになります。
最大の不安は「親のプレッシャー」です。
親に怒られる、親の望む子どもになれない、その事が一番の不安です。この不安を下げることによって、子どもは朝起きてくるようになります。ここで勘違いするのは、何も言わなければ、親のプレッシャーが無くなるわけではありません。
優しく下手に回ると、また、違う問題が出てきます。親子の上下関係が崩れて、ひきこもり・家庭内暴力などに発展していく可能性もあります。詳しくは、「ひきこもり型不登校」でもご紹介しています。
では、どうすればいいのでしょうか?
不登校の子の親へのプレッシャーを減らしてくれるのが『共感の会話法』と『共同作業法』の2つです。共感の会話テンプレートに従って会話すると、子どもは「親が自分の事を見捨てていない、自分の気持ちを理解してくれているんだ。」と感じる事ができます。そうすると、朝起きても親は自分の辛い気持ちを理解してくれているから大丈夫だと思えるようになるのです。
言葉ではなかなか上手に伝えるできない親御さんは、共同作業とは、例えば、一緒にゲームをやるとか、一緒に本を読むとか、一緒にスマホをするとかです。子どもが現実逃避する為にしている行動を一緒にやってあげる。
そうすることで、子どもは「親が自分の目線に近づいて理解しようとしてくれている。自分は一人ではないんだ。」と思えるようになります。
この2つの方法を専門家はお勧めします。朝起こす具体的な方法ではなくて、朝起こす前日に、この方法をやることで、子どもは起きてきます。いつも通りに、「7時だよ。起きてね~。」と声をかけるだけでOKです。最初は9時ぐらいになるかもしれませんが、それ以上は何も言わない。親が子どもの事を信じてあげると、少しずつ、起きる時間が通常の時間に戻ってきますよ。
今、多くの不登校の親御さんたちが『共感の会話法』を使って、お子さんを抵抗なく、スムーズに起こす事に成功しています。ぜひ試してみて下さい!さらに詳しくは、『不登校の正しい親子関係を築く5つのポイント』で解説しています。