不登校と病気の密接な関係とは?

不登校と病気
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病気と不登校の関係

「不登校は病気なの?」という疑問に答えたいと思います。不登校の子どもたちが様々な病気になっています。学校へ戻ることよりも、病気を治すことに時間を費やしています。学校へ行けないことで病気になっているために、学校へ戻らない限り治らない子もいます。病院(精神科・心療内科)に通院して、薬を飲んでいるけど、解決しないままズルズルと時間だけが過ぎてしまっていないでしょうか?不登校と病気の関係について話していきます。

「病気だから不登校になった。」と言われると、安心する反面、不登校に加えて病気とも保護者の方は戦っていかなくてはいけません。

病気の不登校の子を抱える家庭では、その病気が何から引き起こされているのかを知る必要があります。病気を解決して、次は学校へ戻す。順番をしっかり守っていくことで、保護者の混乱も少なくなります。子どもが病気になることで、特にお母さんも精神的な負担を過度に抱えてしまい、病気を抱えてしまうことがあります。病気になった不登校の子のほとんどの子は学校へ行かないことで引き起こされています。不登校の原因を理解することも大切です。

しかし、病気の程度が進行してしまうと薬を飲み続ける生活が続きます。中には入院生活を続ける子もいます。不登校で学校へ戻るというどころではなく、最悪、生死の問題にまで発展してしまう可能性もあります。病気への正しい知識を深めてください。

体調不良

不登校の多くの子どもたちは、「体調不良」で学校へ行けなくなります。病気という深刻な状況ではない段階と、病気と思われるような深刻な段階まで幅広いです。また、不登校でも違いま出てくる症状は子どもによってす。頭痛の子もいれば、下痢ばかりの子もいれば、吐き気ばかりの子もいます。精神科医の先生によれば、その子の元々弱い部分に影響が出てくるそうです。それでは、2つの体調不良のタイプについてみていきます。

①軽い症状~頭痛・腹痛・下痢・吐き気

学校へ行かない理由として「頭痛」「腹痛」などを言う子どもがいます。これを嘘だと感じる親御さんもいるようです。仮病だと思ってしまいます。しかし、それも2日、3日と続くので、仮病ではないかもしれないとわかっていきます。実際、不登校の子たちにアンケート調査すると、頭痛や腹痛は起きています。不登校になる相当前から、子ども達は、体調不良を起こしています。つまり、何カ月も前、あるいは何年も前から頭痛が起きています。

しかし、不登校になるとなると、その痛みは通常を大きく上回ります。朝、起きて来れないような痛みを感じる子もいます。

②重い症状~歩けない・震え・耳鳴り

頭痛や腹痛などの痛みではなく、違う種類の体調不良もあります。例えば、歩けないという子もいます。ぎっくり腰で立てないような状態で、足に力が入らないのです。車いすの生活になります。ビクビク震えが止まらないような子もいます。耳鳴りが出てくる子もいます。他には、目が見えなくなってくる子もいます。

もう少し軽い症状としては、手のしびれやめまいなどもあります。

不登校初期と後期の症状の違い

不登校のきっかけになる体調不良は、比較的軽い症状です。急に重い症状になる子はほとんどいません。不登校になった後、数か月してから別の重い症状が出てくる子がいます。不登校になったストレス以上に、不登校で学校を休んだことによるストレスが加わる為、悪化していくと考えられています。

精神病

不登校の子の中には、精神病を患う子どもがいます。先天的な要因ではなく、学校生活と思春期の葛藤とが重なる事で起きていると考えられています。家庭環境の影響もあると言われていますが、私たちが調査した中では、家庭環境が影響している割合は50%もないと考えます。複雑な家庭環境そのものが影響しているのではなく、子ども自身の問題だと考えるお医者さまもいらっしゃいます。

対人恐怖症・広場恐怖症

休みが長くなることで、人間関係が疎遠になります。そのため、周りの目を気にするようになります。そこから「対人恐怖症」が発症していくと考えられます。人に見られることが怖くなり、外へ出歩かなくなかったり、夜にだけ外出する。あるいは、マスクを常に着けて、顔を隠すような行動をします。視線恐怖症とも言います。同様な症状としては、広場恐怖症(=パニック障害)というものがあります。人がたくさんいる場所が怖くなる症状です。

うつ病・自律神経失調症・統合失調症

対人恐怖症からさらに発展すると、うつ病統合失調症になります。うつ病の基本的な症状としては、

  • 気分が落ち込んでしまう
  • 悲しい気持ちになる
  • 常に憂うつ
  • 希望を持てない

というものです。疲労感が増えたり、食欲がなくなったり、眠れなかったりします。同時に頭痛や動悸などが起きてしまいます。一方で、統合失調症は幻覚や妄想などが起きてしまう病気です。かなり長期間に渡ってうつ症状が続くことで起きると考えられます。この状況では、最低限、病院へ通院して薬を服用する必要があります。

病気の判定

ここで病気なのか、それとも、少し落ち込んでいるだけなのかを判定しなくてはいけません。多くの不登校の子は教育の領域の問題だから、教育で解決しなくてはいけません。しかし、病気は精神病理学の領域ですから、病院で治さなくてはなりません。

例えば、仕事のストレスでうつ気味の人がいます。この人は仕事で疲れているのだから、仕事で成果を上げるか、仕事の量を減らしたりするなどでストレスは改善できます。薬を飲む必要はないと、お医者さんも言います。しかし、ストレスが長期化する事でうつ病へ発展すれば、仕事ではなく、薬でしか治せないです。

この間にある「グレーゾーン」に不登校の子は多くいます。

私たちが見るのは、子どもの「目」です。目を見て「生気」があるかどうかが大切です。そして、肩や背中に力が入っているかどうかも見ます。うつ病に近い子は、明らかに普通の言動ではありません。もし、ご自分で判定ができない場合、心療内科に相談すれば、簡単なアンケートでも判定できます。インターネットのサイトでも、簡易チェックできるものがあります。一度やってみてください。

発達障害

発達障害は政府の定義によると「脳機能の発達が関係する生まれつきの障害です。発達障害がある人は、コミュニケーションや対人関係をつくるのが苦手です。また、その行動や態度は「自分勝手」とか「変わった人」「困った人」と誤解され、敬遠されることも少なくありません。それが、親のしつけや教育の問題ではなく、脳機能の障害によるものだと理解すれば、周囲の人の接し方も変わってくるのではないでしょうか。」と書かれています。

生まれつきの障害によって、学校環境と合わずに不登校になります。障害への理解の無いクラスメイトからの嫌がらせや、からかい、いじめなどを受ける場合もあります。学校教育では特別教室や特別学級などが設けられています。しかし、いわゆる「グレーゾーン」と言われる子がいます。発達障害とまでは言えないけど、健常とも言えない間に居る子です。それを「軽度発達障害」と呼ばれるようになりました。

軽度であっても、学校生活が可能な子もいれば、難しい子もいます。その判断は意志によっても違います。学校の先生を含めて複数の専門家の意見を聞くようにしましょう。

発達障害には、広汎性発達障害 (PDD)・注意欠陥・多動性障害 (ADHD)・学習障害 (LD)など種類があります。私たちは医療機関ではないので、簡単にそれぞれの違いについて説明します。

広汎性発達障害 (PDD)~自閉症・アスペルガーなど

社会性やコミュニケーションの発達が十分でない状態であることを指す。PDD(pervasive developmental disorders)と呼ばれ①広汎性発達障害(特定不能型)、②自閉症(Autism)、③アスペルガー症候群、④レット症候群、⑤小児期崩壊性障害 (CDD)の5つに分かれます。

主に3つの特徴があります。これらの度合いによって、この5つの種類に分かれていきます。

①言語発達障害~コミュニケーション

他人とのコミュニケーションが苦手で、会話が成り立たなかったりしてしまいます。相手の感情を共有しにくいため、会話の裏にあるニュアンスを把握できません。

②社会性障害~対人関係

感情が理解しにくいために、自分の考えを優先してしまうため、周りとの関係が続かなくなります。悲しみや嬉しさなどの感情は持っているのですが、相手がどのような感情なのかは把握できないことがあります。そのため、相手を無視した行動を取ってしまう事があります。

③想像障害~イマジネーション、興味の偏向

社会生活での想像力に乏しいと言われています。一方で、興味を持った対象には深くまで関わろうとします。興味のある分野について記憶する事には長けています。周りにとっては理解がしにくいルールに強く固執する傾向もあります。

子どもでは、体育や図画工作分野が苦手な傾向があります。身体の各箇所を同時に動かすことが苦手である。敏感な感覚があるので、音や味に対して強い反応を示します。それが想像によるものなのか、実際に沿う聞こえるのかはわかっていません。

接した方のアドバイス

PDDの子どもは、周りの人の気持ちを理解したり、察知する、暗にわかることが苦手です。そのため相手の気持ちを無視した言動をとることもありますが、悪気はありません。そのため、理路整然と説教をしたり、理解を促したりすることを伝えても効果はありません。「こうしたほうがいいよ。」と取るべき行動を伝えたほうが効果的です。曖昧で、微妙な表現では伝わらないので、注意が必要です。

冗談やからかいも、自分に言われていることだと理解できないこともあります。一方で人に言われている事が、自分にだけ言われていると勘違いする事もあります。一方的に話し続けて止まらなくなることもあります。

場の空気を読めない事があります。また、会話相手との距離感が取れないので、「近い」と感じさせてしまいます。苦手な科目は全く頭に入りません。無理に勉強をさせるよりも、興味が持てる、好きになるようなアプローチを取ると良いです。

この障害を持つ家庭には、大らかで包み込んで子どもを受け入れる態度が求められます。何かを求めたり、急いだり、焦ったりすることでは何も変化は起きません。子どもの特徴と得意な分野を理解して、得意な分野を活かせる環境を用意してあげましょう。

注意欠陥・多動性障害 (ADHD)

文部科学省はADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)の定義を「ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。」としています。
 
分かりやすく言えば、集中力がないく、じっとしていられず、考えずに行動してしまうという、3つの症状がみられます。教室でじっとしていられずに騒いだり、我慢できずに声を出してしまったりします。このタイプの子を落ち着かせようと無理に力づくで抑え込んでも効果は一時的です。

学習障害 (LD)

この障害はLD(Learning Disorders)と呼ばれ、日常生活において学習部分の問題があります。脳の知的発達に遅れがあるわけではなく、文字が読めない、日本人なら漢字が読めないとなります。あるいは、文字を書いたりすることや、話すことが出来なかったりもします。また、数学の計算になるとできないなど、読む・書く・話す・計算などの、全てではなく、ある分野で困難を伴う障害です。映画監督のスティーブン・スピルバーグもLDだと公表しています。

アスペルガー症候群

知的障害のない自閉症と呼ばれ、コミュニケーションや対人関係に問題を持ち、特定の分野への興味やこだわりが強いです。感情の理解が難しく、抽象的な表現や感情を察する事が苦手です。一方で、好きな分野には特別な能力を発揮する傾向にあり、数学の天才や芸術の天才にアスペルガーが多いとされています。

自閉症

自閉症は、通常3歳頃までに発症する先天的な脳の機能障害だと言われています。言葉の発達が遅れていたり、 対人関係や社会性の障害があったり、パターン化した行動を持っていたり、強いこだわりを持っていると言われています。一人遊びが多く、同じ事を繰り返しやったりしています。親であろうとも、無理に関わろうとするとパニックになったりします。あるいは自分の想いを言葉にのせることができず、 会話できない子もいます。自閉症は心の病気ではありません。

不登校は病気なのか?

ここまで話してきた不登校と病気の関係についてですが、「心の病気」に関しては不登校そのものと関係はない場合がほとんどです。不登校になった後、学校へ行けない期間が長期化したことで「心の病」を発症するケースです。そのため、心の病気になった事で不登校になっている子は少ないです。

一方、発達障害などの生まれつきの障害を持っている子で不登校になっている子はいます。割合は正確ではないですが、私たちの経験では不登校の30人に1人ぐらいだと思われます。

一番難しいと言われているのが「軽度発達障害」の子です。通常生活にはそれほど支障はきたすことはありません。実際、イジメを受けていない場合の軽度発達障害の不登校の子は、この障害が直接の原因だとは言えません。2012年に文部科学省が発達障害の子どもの割合を調査しました。発達障害の割合は「6.5%」という数字になりました。つまり、15人に1人が何らかの発達障害の傾向があるということです。不登校は中学生で3.3%ですから、発達障害の割合の方が高いです。その事を考えると、不登校の直接の原因とは考えにくいです。

病気を見極めて対応しなければ、悪化する

病気が原因で不登校なのか、それとも、不登校になってから心の病気を発症したのか、また、発達障害が原因なのかどうかをしっかりと判断して下さい。それらは医師や教育機関(学校の先生)の判断も手助けしてもらってください。病気でない子に、薬を与えてしまう家庭もあります。そこから薬を頼ってしまう子もいます。

不登校の原因については、不登校小冊子をはじめとして詳しく解説しているので、それらも参考にしてみて下さい。

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