小学生の不登校の解決法
小学校の低学年から不登校になる子どもたちがいます。明るく元気に通学していた子が、突然、学校を休み始めました。小学生の不登校の子は、中学生や高校生の不登校よりも長期間学校を休む傾向にあります。小学生の不登校になる原因、きっかけ、対処法、朝の起こし方、声掛けの方法、解決法をお話します。
小学生の不登校は、中学進学後も5人中4人が不登校が続きます。小学生の間に解決しておかなければ、3年以上の不登校生活になってしまいます。。中には、高校進学ができない子もいます。小学生の間に、しっかりと不登校の原因を取り除いて解決していきましょう。
不登校の原因を理解しよう!
不登校の子たちには、共通する原因があります。私たち不登校教育研究所が発見しました。詳しくは、『学校の先生達も納得した「不登校の真の原因」』でも解説していますので、こちらも参考にしてみて下さい。ここでは、中学生の不登校の子に多い原因やきっかけをいくつかご紹介します。
小学生の不登校の原因
不登校の中で、小学生は学年が上がるにつれて増加します。不登校の学年別データをご覧ください。一番下の列が、その学年で初めて不登校になった子の数です。高学年になり物心がつき始めると、周りを意識し始めるようになります。
(引用:文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(H26)より作成)
今までは不登校と言えば、中学生か高校生でしたが、小学生の不登校も増加しています。地域にある適応指導教室などでは、中学生に交じって小学生も一緒に活動している姿もあります。
思春期と不登校の密接な関係
不登校の発生は、思春期と密接に関わっていることがわかっています。中学2年生が最も思春期を迎える子が多いです。成長とともに、周りの環境と合わなくなり、学校へ行きづらくなります。小学生で思春期を迎える子はたくさんいます。子どもによって思春期の訪れは違います。他の子よりも早く思春期を迎えたのです。
特に、不登校になる子は真面目で良い子です。真面目な子ほど、周りに合わせようとします。思春期で自分らしさが出てくる時に、自分らしさを表現せず、周りに合わせます。
それがストレスとなって、頭痛や腹痛を引き起こして不登校になっているのです。
主な不登校のきっかけ
不登校になるきっかけは、様々あります。体調不良や人間関係、トラブル、勉強ができない、ゲームに依存しているなどです。
①腹痛・頭痛・下痢・吐き気
②起立性調節障害・朝起きられない
③人間関係(友達・先生)との問題
④部活動のトラブル
⑤勉強の遅れ
⑥精神的な疲れ
⑦ゲーム依存
⑧原因不明
不登校の初期対応
子どもが不登校になった時、どの保護者も子どもを叱り、無理にでも学校へ行かせようとします。これは仕方のない事です。まさか、自分の子どもが不登校になるとは思っていません。怠けているだけだと感じるので、そういう初期対応をするのは誰も責められません。
「少し休ませてあげる。」
これは、保護者の方は周りの先生やカウンセラーなどから言われると思います。私たちも最初は少しだけ休ませてあげるべきだと思っています。しかし、期限があります。最初の1週間だけです。不登校の子ども達に聞くと、親から「休んでも良いよ。」と言われて、少し安心したと言います。
でも、1週間を過ぎたあたりから、休んだ事によるストレスで精神状態が厳しくなる子がたくさんいます。ですから、休ませるのは1週間で、それ以上、休ませる状態を続けると戻るタイミングを子どもは無くしてしまいます。
不登校を学校へ戻す5つのタイミング
不登校の子どもを学校へ戻すには、いくつかタイミングがあります。このタイミングをしっかりと意識して下さい、そのタイミングに合わせて、学校の先生と相談してみてください。
①始業式・新学期
不登校の子は、新しい学期になる前は、気持ちが高ぶっています。長い休みを挟むので、行けるような気持になります。ただし、休み中の宿題を終えていないと、それを理由にして行けないので注意してください。新学期が始まる前に、休みの間、学校へ通う練習をすると良いでしょう。
②新学年
新しい学年を迎える時は、クラスも変わって、担任の先生も新しくなります。新しい環境になるので、前向きになります。新クラスでは仲の良い友達、話の分かる先生と一緒のクラスにしてもらう必要があります。事前に学校と相談しましょう。
③修学旅行・遠足
不登校の子で修学旅行には参加できる子がたくさんいます。学校の合わせる雰囲気がなく、少し自由に行動できる環境があるからです。この修学旅行のグループ分けをしっかりしてあげることで、修学旅行後に学校へ戻れるようになる場合があります。
④文化祭
年に1回ある文化祭は、準備機関が1ヵ月程度あります。ここで、何かの発表やグループの役割分担を決めてあげます。クラスには戻れないけれども、文化祭の出し物なら参加できる子も多いです。2学期になった時には、学校の先生と文化祭について話し合って、情報交換をして下さい。子どもの得意なことなどを伝えておくと、スムーズに文化祭に参加できるようになります。
⑤運動会
運動が得意な子にとっては、体育祭で自信を持てるようになります。出場する種目のやり取りなどは、一方的に学校側から情報が流れてくるのではなく、担任の先生とコミュニケーションを取るとうまくいきますよ。
小学6年生は中学進学後、5人中4人が不登校が続く
先程の文部科学省のデータでも、中学1年生の昨年度から継続して不登校になっている子が約6700人。小学6年生の不登校が8500人。つまり、小学6年生の子は、中学進学後も約78.8%の子が不登校が続いてしまっています。
中学進学をきっかけに、不登校が改善すると期待される保護者の方も多いです。しかし、実際は違います。中1ギャップも加わり、余計に通えなくなってしまうのです。中学1年生は、新しい授業内容、友達作りや部活動もスタートする大事な時期です。ここで学校を休んでしまうと、もう戻る場所がありません。そのため、中学3年間、不登校が続く子もたくさんいます。そうなると、自信がないし、勉強もしていない。高校進学もできずに、家にひきこもる子もいます。
小学校は、中学や高校とは違い、勉強でのプレッシャーも少なく、活動も自由に行えます。不登校の原因をしっかり理解する事で、解決の道が開く事ができますよ。
小学生の不登校の解決法
小学生の不登校の解決にとって、一番難しいのは、理屈や理論で説得できない事です。将来について話しても、小学生では想像もつきません。思春期の感情の変化です。
不登校を解決する為には、原因を知ることがとても大切です。しかし、原因を知っても子どもが動かなければ、学校へ戻ることはありません。その為には、子どもの心理状態を理解して、子どもの心に合わせた接し方が必要になります。親子の関係が良好になった時に、登校刺激をしていきます。
ステップ1:不登校の原因を知る
不登校の原因については、『学校の先生達も納得した「不登校の真の原因」』や『不登校小冊子』を読む事で学んで下さい。詳しい発生過程から、心理的な原因がわかってきます。
ステップ2:不登校の心のケアする
不登校の子どもの心理的な状態については『不登校の7つの心理とは?』で詳しく解説しています。そして、『共感の会話法』を利用する事で、子どもの気持ちに寄り添ってあげることができます。そうすれば、親子関係は良好になり、学校へ戻る状態がつくられるのです。
ステップ3:登校刺激
家の中では学校へ行けないだけで、普通の精神状態まで子どもが落ち着いたら、次は登校刺激です。多くの場合、最初から教室へ戻る事が難しいです。別室登校・保健室登校からスタートするといいです。『不登校を保健室登校から教室復帰させる3ステップ』で、具体的な対策をお教えしています。
この3つのステップに沿って、対応していくと子どもとの信頼関係をしっかりと保ちながら学校へ戻る道を作ってあげられます。ぜひやってみてください。