不登校は家庭教育が原因なの?
「私の子育てが間違っていたんだ…」と、落ち込んでいるお母さんがたくさんいます。家庭教育が悪かったから不登校になったのでしょうか?「自由放任で甘やかしすぎた」「家庭環境が悪かったのかもしれない。」「シングルペアレント(片親)だから」「夫が単身赴任で家に居ない」「家庭内暴力」「離婚したから」「再婚家庭」「親の病気があって…」と、自分を責め続けて苦しんでいる保護者の方に答えを出したいと思います。
私たちは今までに1万以上の不登校家族にお会いしてきました。詳しい家庭教育法から、保護者のタイプなども分析してきました。その中で家庭教育の何が不登校の子に影響を与えているのでしょうか?
家庭教育の影響
不登校が家庭教育、子育てが原因だとしたら、私たちは何を変えればいいのでしょうか?子育てが不登校に影響を与えたと考えられる2つの状況について考えてみましょう。
自由放任・甘やかした
不登校の子は学校へ行かなくなると、ゲーム三昧でワガママ放題になる傾向があります。特に母親に対して強い口調で歯向かう子どもも多いです。例えば、学校の先生が家庭訪問しても、部屋に逃げて会わないとか、朝食や夕食を家族と一緒に食べない。
学校へ行くのは義務で、当たり前のことなのに、不登校になったのは「怠けている」。だから、怠けさせた子育てをした、甘やかしてしまったと考えてしまうのです。それは仕方がないことだと思います。
しかし、甘えたり、ワガママを言い出したのは不登校になってからのはずです。
不登校になる前は、他の子と同じように真面目で良い子だったのではないでしょうか?そう考えると、甘やかして育てたというのは、当てはまらないかもしれません。
厳しく育てた
不登校の家庭で、父親・お父さんが厳格で厳しく、子供を育てている場合があります。その反動、反発で不登校になっていると考える親御さんもいます。特に男の子で多いのですが、父親と全く口を聞かなくなる。まるで、父親に反抗するように不登校になっているのではと思えてなりません。
逆に、厳しく育ててきた父親がコロっと態度を変えて、子どもに優しくして、子どものワガママさが助長されてしまう不登校家庭もあります。
しかし、これらも不登校そのものの原因とは関係性が少ないです。厳格であれば、本来、学校へ行くはずです。これも関係が内容です。
家庭環境が不登校の原因の可能性
家庭教育そのものが影響を与えている可能性は低いのですが、家庭環境が不登校の原因なのかもしれません。私たちが見てきた不登校の家族には様々な家庭環境がありました。普通の家庭がほとんどです。それでも、家庭環境の影響がゼロとは言えません。
シングルペアレント(片親)
シングル家庭で、親が夜遅くまで働いている不登校家庭があります。一人っ子の場合、夜御飯も一人で過ごさなくてはいけない子もいます。兄弟姉妹がいる子でも、お母さんが一番小さい子にかかりっきりで、目を向けてくれないことに不満を持つ子もいます。
「愛情不足が不登校の原因では?」と考えてしまうのは当然のことです。カウンセラーの先生の中には、親がもっと愛情を注いであげなければいけないとアドバイスしています。寂しさから、親が愛してくれる、心配してくれる、てを掛けてくれるように不登校を選んでいると考えるようです。
シングル親の子たちの多くは、家にこもるよりも、外で友達と遊ぶ傾向が強いです。愛情が足りない家庭もありますが、子どもの為にがんばって働いているお母さんの姿を子どもは見ています。愛情を強く感じています。小学生の低学年なら理解できますが、中学・高校生で親の愛情不足は考えにくいです。
単身赴任
父親の単身赴任によって、家庭がシングルペアレント状態になり、不登校に子どもがなってしまう場合があります。今までは父親と母親でバランスを取っていたのに、父親が離れて暮らすために、母親の立場がゆらぎます。思春期の子ども達は、母親の言う事を聞かなくなります。週に1回程度でも帰宅できるようにがんばってくれているお父さんですが、一度崩れたバランスは簡単には戻せません。
そこで子どもは怠けてしまいます。ちょっと嫌な事があれば、学校を休む。ちょっと疲れたから学校を休む。これが繰り返されて、とうとう学校へ行かなくなる。怠けの不登校パターンです。
あるいは、父親がいない寂しさから不登校を起こすと考えられます。父親に戻ってきてほしいから、自分が不登校になって問題児になる。そうすれば、無理にでも父親は家に戻らざるおえなくなるということです。これらも、現実的には考えにくいです。多くの単身赴任の家庭では不登校になっていません。不登校そのものよりも、不登校になった後にワガママになるタイプです。
家庭内暴力
家庭環境が非常に複雑なケースとして、親から家庭内暴力を受けている子がいます。その恐怖心から不登校になっている場合があります。これは児童相談所に相談すべき問題です。父親の暴力で心を閉ざし、学校でも人間関係を築く事ができず孤立してしまう。カウンセラーを含めたケアが必要です。
離婚
親の喧嘩や別居から離婚へ発展する中で、不登校になる子どもがいます。自分が問題を起こすことで、両親が再び手を取り合って仲良くなることを望んでいると言われます。離婚の最中に、病気になる子もいれば、自分のイライラを理解してくれる不良グループに入る子もいると、カウンセラーは言います。不登校と離婚の関係は、微妙です。家のゴタゴタを避けるために学校へ行く子どもがほとんどです。
再婚
再婚によって、再婚相手と暮らすことで精神不安定になり不登校になると考えられています。不登校に限らず、少なからず子どもに影響があるのは確かです。不登校という特殊な状況を引き起こすには、再婚だけでなく、もっと他の要因がなければいけません。家庭の問題の多くは、学校へ行くことで子どもは気持ちを落ち着かせることができます。家に居ない方が現実逃避できるからです。
親の病気
障害や精神病、依存症などを抱えた親を持つ不登校の子がいます。私たちが出会った中で一番多いケースは、「うつ病」などの精神病を患った親を持つ不登校の子です。親の精神の影響を直接受けるのは、子どもです。うつ病が伝染するかのように、子どもの精神も壊してしまうことがあります。
この場合は、正確に判断する為に心療内科や精神科にかかることです。そこで、親の影響を受けたのかを判断して下さい。
結論
私たちが1万以上の不当家族を観察、研究してきた結論として、不登校と家庭教育・家庭環境は密接に関係はしていません。全く関係がないと言える家庭がほとんどです。不登校の子には共通点や同じタイプの子はたくさんいます。しかし、家庭教育や環境に共通点はみられません。大人しくて、目立たず、少しうつ気味の不登校の子の家庭を調べると、厳格な家庭だったり、自由放任の家庭だったり様々です。何も問題がない家庭もあれば、シングル親家庭もあります。
共通点がないということは、それが不登校の原因だとは言えません。他の専門家の方で、親の愛情不足や家庭環境、子育ての方法が原因だと言われる方がいらっしゃいます。しかし、私たちが25年以上研究してきた結論は、多くの不登校の子どもたちと家庭状況は関係がありません。
「不登校小冊子」で話しているように不登校の原因は子ども自身にあります。これ以上自分の子育てを嘆いて責め続ける必要はありません。しっかりと不登校の原因を理解するところからやり直してください。