ゲームやスマホに熱中する不登校
不登校の子はゲームで時間を潰しています。ゲームやスマホをやっていない不登校の子は少ないです。しかし、夜遅くまでやり続けて、ゲームから抜け出せないゲーム依存のような状態になっている子どもがたくさんいます。ゲームに熱中し過ぎて、学校へ行く気持ちがなくなり、不登校を抜け出せなくなっています。
なぜ、ゲームに依存してしまうのでしょうか?その心理状態を知ることで、ゲームやスマホ・動画・アニメから抜け出させる方法がわかるようになります。ゲーム依存の治し方について解説していきます。
ゲームにハマる原因とは?
不登校の子がゲームに熱中するのは、ゲームが楽しいだけではありません。不登校の子にとって、学校へ行けない現実はとてもつらいです。そのつらい現実から逃れるために、簡単な方法は「現実逃避」です。見たくない現実から逃げるためにゲーム、やスマホに熱中しています。
そして、ゲームの架空の世界に入り込んでしまうと目の色が変わります。ある子は、奇声を発したりするようになります。精神状態が不安定になります。
親との関わりの中で、親があまりにも学校へ行くことを強要したり、親のイライラが言動に出ていると、子どもは親に対しても強いストレスを感じます。親からのプレッシャーを避けるために最初はゲームへ逃げる子が多いです。それと、毎日が暇なのでゲームをやるしかなくなることが重なります。それで、中毒、依存状態になっていくのです。
①ゲーム
テレビゲームに依存する場合、家のリビングで子どもがやっているのなら改善するのは容易です。しかし、子ども部屋でゲームができる環境があると別です。より依存度は高まります。
1つのゲームソフトを終えると、「あのゲームソフトを買ってこい!」と強い態度でお母さんに要求し始めると、依存状態に入っています。実は、そうなる親子関係になってしまったのはゲームとは関係がありません。子どもとの会話が消えてしまい、親が子を「腫れ物に触るように」扱ってしまったことが原因です。
もし、まだ子ども部屋にゲームやパソコンがないのなら、それを維持して下さい。一度、子ども部屋にテレビやゲームを入れてしまうと、ひきこもりにまで発展してしまいます。
②スマホ
スマホは常に手元にあるので、子どもは自分の部屋でずっと電源コンセントをつないで遊び続けます。一番心配なのは、課金制ゲームです。事前に課金について設定しておいて下さい。
また、中学生や高校生の不登校の場合、親子の約束で「中学生になったら、スマホを買ってあげる。」「高校生になったら、スマホを持ってもいい。」としている家庭があります。その約束後に不登校になった子がいます。すると、「早くスマホ買って!」と言ってきます。ここで負けてしまうと、親子関係、家庭のルールが崩壊してしまいます。これと不登校は関係ありません。
子どもが不登校だからと、今まで築いてきた家庭のルールを崩すと子どもは親の事を下に見始めます。そうならないように、不登校と躾(しつけ)を間違えないようにして下さい。
③動画(Youtube・ニコニコ動画等)
ゲームではなく、動画に熱中している不登校の子もいます。「俺は、ユーチューバー(Youtuber)になる!だから、学校へ行かない!」と言い始める子もいます。心理的には、ゲームと同じで、現実世界の惨めな自分から離れて、動画の世界へ入り込みます。ゲームよりも比較的に熱中、依存度は低いです。テレビよりも、今の動画は親近感やコメントを書き込む事ができるので、掲示板の役割も持っています。
④アニメ
漫画やアニメに熱中している不登校の子も多いです。動画の影響で、漫画を読むよりも、動画やテレビでアニメを見る子が増えています。ただし、依存という状態になる子はほとんどいません。
アニメのイラストを描いたりする不登校の子も多いです。こういうタイプの子は、芸術方面に感性があるので、それを生かした活動を学校の中で取り入れてあげる事が大切です。
一方で、アニメのフィギュアにのめりこむ子もいます。男の子に多いです。このタイプの子は空想癖が出てくるので、ゲームに似た感覚もあります。無暗にお小遣いを与えて、フィギュアを買える状況を作り続けない方が良いでしょう。
⑤ネット掲示板
不登校同士でネットの掲示板を通じて仲良くなる事があります。私たちの学校でも、ネットで知り合った子が一緒に入学してくるケースがありました。やはり、孤独で一人でいる事が寂しいのです。
しかし、顔の見えない世界なので、様々な想像を巡らせているうちに、逆に心の負担、ストレスを抱えてしまうこともあります。掲示板の人間関係で、ひきこもる子もいます。そうなるのは家族内の関係が良くないことが原因です。寂しさを与えない、不登校でも明るく笑いのある状態を作り上げてほしいのです。
ゲーム依存を改善する方法
ゲームなどにのめりこむと、それが家族関係を悪化させて、子どもの精神不安定を招きます。そう聞くと、ゲームやスマホは急いで禁止にしないといけないと考えてしまう人がいます。しかし、一度与えたものを取り上げることは絶対にやってはいけません。
以前に、あるお父さんが不登校の息子さんからゲームを取り上げて、翌朝、子どもが自殺未遂を起こしたことがあるからです。それより前には、パソコンのネット回線を切って、子どもが暴れだして親に殴り掛かった子もいました。
そもそも、子どもがゲームをやる理由は、ストレス発散です。現実の厳しい状況を直視することができないので、ゲームの世界に逃げているわけです。学校へ行けたら問題は解決できるのですが、戻れない。親が辛い気持ちを理解してくれるかといえば、そうではありません。仕方なくゲームに逃げている。
その状態の子からゲームやパソコンを急に取り上げると、子どもは自分のストレスを逃がす場所がなくなります。すると、それを発散するために物を壊したり、家族に暴力を振るったり、自分の命を絶とうとしてしまうのです。
危険性が高いので、やめるようにしてください。
私たちが30年の不登校教育の経験で、今、多くの不登校ご家族に実践していただき効果が高い方法があります。それは、ゲームをやっている子どもに共感することです。「共感の会話法」はメールマガジンでお教えしたところ、毎日、この会話法を実践されて改善した報告が届くようになりました。
依存状態にまで進んでいる子に対しては、「共感の作業」がお勧めです。方法は簡単で、子どもがやっているゲームを一緒にやることです。これだけで子どもは親からのプレッシャーを減らせるので、ゲームに逃げる時間が大幅に減ります。ゲームのやり方がわからなくてもいいです。わからない部分は子どもに聞けばいいですよね。そこで会話が生まれます。笑顔も出てくるようになります。親が自分に近づいて、理解してくれようとしていることを感じてくれます。驚くほど効果があるので、やってみてください。
ゲーム依存状態は親子の関係が改善すれば、治っていくので、安心してください。